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地域後見の主役 市民後見人を普及させよう!

「地域後見」の主役は、どんな後見人か

1 NPO法人安心サポートネットの平成22年度の重点目標の1つが、長期的視野に立って設定した「地域後見の推進」です。今夏の8月7日福岡市の天神ビルで、当法人は「地域後見」を主題にしたシンポジュウムを主催しました。基調講演は当法人理事長、パネリストは7名、参加した聴衆は、約200人、大変な盛況でした。

この「地域後見」とはどんなものか?一口で言えば、『判断能力の不十分な高齢者や障害者の皆さんが、いつでも、どこでも、容易に成年後見制度を利用して、安心した生活を送れる・・・そういう地域社会を作ろう!」ということです。

2 それでは、この「地域後見」の主役は、どんな後見人でしょうか?
この後見人は、現在の地域住民のニーズに最もよく応えることのできる後見人、すなわち、ボランティアやNPO等、人を支え、人に役に立つことに喜びや生き甲斐を感じる、「新しい公共」の人達を対象に育成された市民後見人です。

この市民後見人は、➀ いつでも、どこでも、容易に育成でき、また、活躍できること。② ボランティアを視野に入れた活動のため、親しみ易く、利用し易いこと、③ フットワークがよく、面倒見が良いこと、等の特徴があり、現在家庭裁判所が後見人の選任対象としている『親族』や第三者「専門家」とは、全く違った新しいタイプで、この後見人こそが、地域後見を担うにふさわしい主役だと確信しています。

普及・拡大が進まない理由・「後見支援組織の未整備」

1 現在、市民後見人が活躍している地域は、全国的にも、ごく僅か。当法人が活躍している福岡・熊本地域や社会福祉協議会が市民後見人を育成している東京都各区や大阪市等、大都市圏の一部の地域に限定され、それ以外の地域に急速に広がる兆しは見えません。
 どうして、市民後見人の普及・拡大が、遅々として進まないのか?答えは、その啓発宣伝が進んでいないことのほか、次の2つの理由に絞られます。

2 その1は、市民後見人の存立と活躍は、その育成と指導監督を担う「後見支援組織」の存在がなければ、有り得ない! この意味で、全国各地に「後見支援組織」が育っていないということです。従って、市民後見人を広げるためには、先ず、全国各地に、「後見支援組織」を整備することが不可欠です。
 しかし、この「後見支援組織」育成の障害は、安定した財政基盤の確立です。当法人も、設立以来この課題実現のため、大変な努力を積み重ねてきました。市民後見の崇高な志があっても、この財源確保に目途が立たなくて、挫折した例はよく耳にします。

3 現存する後見支援組織を財源確保の形で区分しますと、その1は、自治体の支援を受けて、市民後見人を育成している「社協」や「成年後見センター」のような依存型。その2は、当法人のように、どこからも財政支援を受けず、自ら成年後見の関連事業を実施することによって財源を得ている独立型の2種類です。

4 その中で、依存型で育成される市民後見人は、簡単な事案しか担当させられない等いろいろの制約があって、萎縮した従属タイプなのに対し、独立型だと、依存型のような制約がなく、力量に応じて活躍できるのが魅力です。従って、市民後見の真の発展のためには、独立型NPOが各地に誕生し、横のネットワークを形成して、相互に発展することが理想です。しかし、次善の策として、自治体等の財政支援を受ける依存型でも、市民後見人の増加を図ることは立派な選択肢だと思います。

普及・拡大の障害・「地域住民の目線に冷淡な家庭裁判所」

1 第2の理由は、家庭裁判所による後見人選任が、従来から一貫して、その供給源を「親族」と「特定分野の専門家」に限定し、地域住民のニーズに適合した新しいタイプの後見人への取組みがなおざりで、熱意が感じられないことです。

 家裁が現在の頑迷な選任方法を続けていけば、後見制度の利用が低迷し、やがて破綻に追い込まれるのは明白です。従って、この憂慮すべき事態を改善するには、家裁自身が「成年後見制度を単に財産管理だけの問題とせず、判断能力の不十分な人達の安心した生活を保証する「幸せ」や「福祉」の問題として捉える。」という地域住民の目線に立って、従前の後見人選任の枠組みを見直すことが必要です。 

3 その見直しの結果、家裁が「新しい公共の見地から積極的に市民後見人の育成に努め、その活用を図る方針を採用することになれば、現在の低迷の突破口となり、成年後見制度が真に地域住民のための制度として活性化することは確実だと思います。1日も早く、家裁がその方向に舵取りをすることを強く望む次第です。

 以 上
by seinen-kouken | 2010-12-07 20:37 | NPO


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