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静かな山里の成年後見制度

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 私は静かな山里の農家に住むA子さんを訪ねた。 午前中、マイカーを運転して、A子さんの家を目指した。その家は小山をいくつも越えた山里の一番奥の山の中腹にある。過去何回か訪ねたことがあるが、この付近はコンクリート舗装の道路から昔ながらの小道が幾重にも分かれているので、目指す山里はどこで曲がったらよいのか、迷ってしまう。

 今回も、何回もぐるぐる回り、迷いに迷って、やっとのことでA子さんの住む家に辿り着いた。 A子さんは、80歳を超えた母親のBさんと2人きりで暮らしている。そのBさんは、昨年夫に先立たれたが、そのショックから立直って、元気な姿でA子さんともども、私を大喜びで迎え入れてくれた。

 A子さんは、発達遅滞の障害者である。日常会話をするには支障がなく、家事も、炊事、洗濯から身の回りのことまで一人でこなしているが、預貯金の出し入れ等の財産管理や人との交渉事ができないだけである。 そこで、隣の市に住む実弟のCさんが任意後見人になって、A子さんの面倒をみており、私は家庭裁判所により選任された任意後見監督人である。

 私とA子さんやBさんとの話は弾んだ.母娘2人の生活ぶりから健康面に至るまで、話が途切れることはなかった。2人の素朴で,親切で、昔ながらの人情味溢れた人柄に接することができて、大変清々しい気分に浸った。最後に、Bさんが私に向って、「こんなに安心した生活を送れるのは先生のおかげです。いつも感謝してます。」 と。この話を聞いて、一瞬戸惑いを感じた。 
 任意後見人の弟さんは、毎週末になると、必ず姉のA子さんの家に泊り込み、、翌日には、母と姉を結構離れた商店街に連れて行き、1週間分の買物をしたり、用務を足したりしている。近頃では滅多に見かけない感心な息子であり、弟である。また、後見人としても職務に忠実で、素晴らしい。

 弟さんの誠実な人柄から考えると、弟さんが任意後見人になっていようと、いまいと、関係なく、母と姉に対して情愛の溢れた面倒をみられると思う。しかし、どんなに立派な人でも、全く野放しで、自在に人様の財産を管理できるとなると、いつの間にか人様の財産を自分のために流用したり、着服したりする怖れがあるものである。

 現在、弟さんは任意後見人として、姉の後見事務を処理すると、これを後見事務日誌に記録し、収支計算書(領収書付き)とともに、任意後見監督人に定期的に報告する。これらの報告の点検や調査等を通して、後見監督人の監督が行われるので、流用や着服が行われることは考えられない。このような歯止めの役割を果たしているのが任意後見制度である。

 この優れた制度のおかげで、任意後見監督人である私は、監督をするだけで、Bさんから感謝されたわけである。こんな山里に住むA子さんのためにも、成年後見制度は素晴らしい機能を果たしているのだな、と思わず嬉しさがこみ上げてきた。
 
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by seinen-kouken | 2008-11-23 12:33 | NPO

石の上にも3年

c0166418_2151266.jpg 「石の上にも3年」という言葉は、世間ではよく使う言葉で、石のうえでも、3年続けて座れば、温まるとの意味から、「我慢してじっと辛抱すれば、必ず、最後には報いられる。」 という諺です。
 安心サポートネットは、平成16年5月29日創立総会を開催しました。私はその冒頭の挨拶で、この諺を引用して、発足当初からお客さんも来ない、する仕事もないというような、真冬の寒々とした状況が長く続いても、耐えに耐え、辛抱に辛抱を重ねていこう!そうすれば、やがて春がやってくる、と会員の皆さんに呼びかけました。
 しかし、幸いにも、当法人は冬枯れの厳しい時期を経験することなく、お客さんも沢山来てくれて、仕事も結構受託しました。その上、幸運にも新聞やテレビ等のメディアからも、暖かく迎えられました。その後の経過も順調に推移し、「石ノ上にも3年」という諺は、当法人には縁がないように見えました。

 しかし、そうは問屋が卸さない。平成19年11月に開設した当法人の熊本出張所は、まさに「石ノ上にも3年」 という諺が、ぴったり当てはまる程、お客さんが滅多に来なければ、仕事もこない、じっと辛抱して待つ、という状態に陥ったわけです。
 この事態を打開するには、どうしたらよいでしょうか?
 選択肢は2つ。その1は、仕事の受託のための宣伝を行って、仕事が来るのを辛抱強く待つ。その2は、仕事の受託宣伝よりも、熊本市民に役に立つ事業を行って、その信頼を得ることに力点を置く。 どの道3年間も辛抱することになるのなら、熊本市民に役立つ後者の方法を選択するのが賢明だと思います。

 判断能力が不十分になった熊本市民の高齢者や障害者を熊本市民の力で面倒をみる。このシステムを実現するためには、熊本市民から多数の後見人を育成することが必要です。そのことを実現できる唯一の道は、熊本市で「成年後見人等育成研修」を実施することです。この種の広範で専門性の高い研修は並大抵の団体では、到底実施することが困難です。それだけに、この研修が実現すると、熊本市民には朗報で、貴重なプレゼントになるばかりか、熊本市民の皆さんの当法人に対する信頼も得られることになると思います。

 この研修は来年中頃までには、実施することを目途に、現時点から着実に準備していきたいと決意しています。

 注 平成20年11月には、当法人理事会で,熊本市において「成年後見人等育成研修」を実施  することを決定し、次いで、21年1月には【熊本版成年後見人等育成研修実施実施要綱】
  が定められて、間もなく受講者の募集が行われる予定です。
   同要綱によると、研修日は7日間、総研修時間は42時間、後見人等の職務の遂行に必要
  な広範な研修科目を質の高い、実務にも明るい講師陣が担当します。詳細は当法人のホー  ムページ (http://www1.odn.ne.jp/seinenkouken-npo/)を参照してください。
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by seinen-kouken | 2008-11-05 21:34 | 随想