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安心サポートネット創立10周年における感慨

-安心サポートネット10周年を記念してー
創立10周年における感慨
NPO法人高齢者・障害者安心サポートネット
                              理事長  森 山  彰
1 全会員の労苦の賜物・・敬意と感謝
 当法人は平成16年5月に設立登記を完了。本年5月には創立10年目の大きな節目の年を迎えた。まさに光陰矢の如しであるが、一口に10年と言っても、その重みは筆舌で表現し尽せるものではなく、誠に感慨無量のものがある。
 まずは、終始一貫、当法人が充実、発展の道をたどることができたことは、これ一重に、地域住民の皆様の絶大なご協力とご支援があったればこそであり、また、全会員の皆様が労苦をいとわず、誠心誠意ご尽力をいただいた賜物であるから、このことに対し、心から敬意と謝意を表したい。

2 活性化の3つの活動指針
 創立10周年で、まず想い出すのは、平成12年成年後見制度が誕生したときのことである。その当時、いわゆる老人病院では、判断能力の欠けた入院患者に対して魔の3ロックと云われた人権侵害が常態化していた。この素晴らしい成年後見制度が定着すれば、この種の人権侵害は、世の中から姿を消すだろうと大きな期待を抱き、喜びで小躍りしたものである。
 ところが、この制度は、驚いたことに、発足当初からその利用が低迷したのである。この憂慮すべき状況をみて、当時筑紫公証役場の公証人だった私は、今考えると、思い上がりもいいところだが、多くの専門家を誘い、「成年後見制度の活性化」を目的とした「権利支援システム研究会」を立ち上げたのである。どんな手段を講じれば活性化できるのか? その理念や具体的な活動指針や組織はどうあるべきか? この研究会で得た制度活性化のための活動指針(キーコンセプト)は次のとおりで、これらの指針に基づき法人を創立し、何が何でも突き進む!ということだった。
 第1、個人の尊厳の保持と自立の支援という福祉の根本理念による活動、即ち、後見制度の財産管理中心から身上監護重視への転換である。 
 第2、ボランティアを視野に入れた非営利の活動、当法人における後見人の供給源が「新しき公共」(人を支え、役立つことに喜びや生き甲斐を感じる人達)であること、即ち、「市民後見人」の育成と活用であることの宣言である。
 第3、各専門家によるネットワークを活用 しての活動、これで、当法人内に経験豊富な各種専門家を取り込み、また、必要分野にプロジェクトチームを編成。これらが「市民後見人」を支援する構図を明確化した。
 以上この3つの指針は、その後当法人の発起人会及び創立総会において承認、確定されたもので、まさしく、当法人の基本骨格を形成し、当法人
の魅力ある特徴や強力な武器となっている。
そして、この3つの武器(特徴)を活かして、当法人が成年後見制度の運用に参加して、親族後見人や第三者専門家後見人とよい意味で競い合い、刺激し合えば、必ずや成年後見制度の活性化が果される・・・と考えたのである。

3 市民後見人の育成と活用
 そこで、当法人は平成18年から「競合いをする市民後見人の育成」に乗り出した。第1回育成研修を福岡市で実施し。受講者はボランティア精神が旺盛な一般人を対象とし、質が高い講師陣と充実したカリキュラムにより実施。その後も福岡市で2回、熊本市で1回行って、市民後見人の育成と活用に努めてきた。この意味で、当法人は、全国に先駆けて、画期的な研修を実施してきたのである。

4 「地域後見」を提唱
 ところで、市民後見人と親族又は第三者専門家後見人間の競い合いが、いくつかの小地域のみで行われても、制度の活性化にはつながらない。全国津々浦々で競い合うことが重要である。
 そこで、当法人は「地域後見」を提唱し、重点施策としてその実現に努めてきた。地域後見とは、「判断能力の不十分な高齢者・障害者の皆さんが、いつでも、どこでも、容易に成年後見制度を利用して、安心した生活を送ることのできる社会をつくろう!」という後見制度の地域性を重視した理念であり、その主役は、親しみ易く、利用し易く、そして、清潔な市民後見人である。
この「地域後見」の具体化の第1歩が、平成21年、熊本市において会員50名を有する「NPO法人成年後見安心サポートネット熊本」の設立である。当法人は、安心サポートネット熊本の円滑な運営を全面的に支援中であるが、この種NPO法人を独立採算制で、自立して事業運営ができるまで育成するのは、大変な苦労を伴うことも実感した。

5 市民後見推進事業の実施
 このような経験を経ると,市民後見人の全国展開を目指す地域後見事業が如何に難事業であるかも、身に沁みて理解した。地域後見は、忍耐強く、亀の歩みをするしか実現の道はないかとさえ思えた。ところが、23年に至って、予想さえできなかったことだが、厚労省が従来の方針を大転換し、市民後見推進事業の実施に踏み出したのである。その結果、24年には老人福祉法32条の2が新設され、市民後見人の育成及び活用が市町村の責務となった。これにより遅かれ早かれ市民後見人が、全国津々浦々に普及・拡大することが確実になった。これ程欣喜雀躍したことはない。それと同時に、「地域後見」の実現を標榜してきた当法人の先見性及びこれまで実施してきた諸方策の正当性が立証された。

6「地域後見」の実現は市民後見推進事業の結実が不可欠
 今後我が国では、益々核家族・少子高齢・無縁社会は進んでいくだろう。否応無く、その弊害や矛盾がこれまでより一層顕著になるだろう。「その弊害や矛盾を可及的に防止し、安心した生活が送れる社会をつくる!」という重要な役割を担うのが成年後見制度であり、また、具体的には「地域後見」の実現である。
 ところで、厚労省による市民後見推進事業は、やっと、スタートしたばかりのよちよち歩きである。問題は今後本事業による市民後見人がどのような形で養成され、その活動が定着していくかである。その養成と活動の目標は、市民後見人として優れた長所を遺憾なく発揮し、親族後見人や第三者専門家後見人とよい意味で競い合える、親しみ易く、利用し易い市民後見人である。
 その実現には、長期間を要し、苦難の道のりがあって、相当の紆余曲折が予想される。しかし、是非とも、市民後見人の長所や力量を全国の人びとに理解・納得してもらい、これらの支援者の力を結集して、「地域後見」を実現したいものである。そのためには、当法人がこの目標に向って尽力することは勿論、「地域後見」と完全にリンクしている市民後見推進事業の施策が、是非とも結実するよう、努力することが肝要である。
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by seinen-kouken | 2013-06-23 18:26