<   2014年 06月 ( 1 )   > この月の画像一覧

 任意後見制度の活性化に挑戦しよう!

1 記念論文集の発刊
 当法人は、昨年5月、創立10周年を迎えるに当たり、これまで順調に充実・発展の道をたどることができたことを心から祝福する趣旨で、「懇親祝賀会」、「安心の広場の記念特集」、「記念論文集の発刊」の3記念行事を計画・実施した。
  その3つ目の「記念論文集」も近く日本加除出版社から出版される予定である。題名は当法人の基本目標である「地域後見の実現」・「その主役・市民後見人」である。編著者は、小職と法務省官房審議官として成年後見制度の立法に携わった小池弁護士の2名が担当し、執筆者としては、尊崇して止まない福祉の卓越した指導者、さわやか福祉財団堀田力会長を初め、社会保障分野でご活躍の熊本県立大学石橋教授、権利擁護分野でご活躍の日本福祉大学元教授の秋本誠氏、市民後見育成に熱心な東京大学政策ビジョン研究センター元特任助教の宮内康二氏にご協力をいただいた。
  本書が読者にどんな影響を与えるかは、出版されてみないと、全く不透明だが、少なくとも、当法人の事業内容、特徴、仕組み等を紹介して、「地域後見」の実現に取り組む当法人の姿を描くことができたと思う。また、いわゆる小職の持論である、介護上の同意や医療上の同意、更には、本人に寄り添う行為や勇気付けの行為等の事実行為が身上監護事務に含まれるという理論を展開して、身上監護の重要性・実効性をも力説することができた。その意味では、10周年記念としてふさわしい論文集になったと自負している。

2 当法人の10年の歩み 
 ところで、創立から10年という歳月の流れとともに、当法人も年相応に成長し、取り組んできた諸重点施策についても、それ相応の成果を上げてきた。
  26年度は、人に例えれば、伸び盛りの11歳である。もちろん、当法人の「地域後見」の実現という基本目標は、11歳に成長しても不変であるが、11歳なった当法人が、過去10年の歩みを検証し、それを踏まえて、これまでとは違った面で、新たな施策に挑戦することは、大変意義深いことである。
  過去10年の歩みの中で、当法人の最重点施策として継続して取り組んできたのは、次の2方策である。
第1が、「当法人における後見実務と指導・監督システム指針」(以下、「システム指針」という。)の策定であり、第2が「安定した財政基盤の確立」である。
 第1の「システム指針」は、後見事務全般を網羅した「処理マニュアル」としての性格を持ち、市民後見人が後見事務を適正かつ合理的に処理し、その円滑な指導監督を行うためには、必要不可欠なものである。
 しかし、その策定作業は、未知の世界へ零からの出発であったから、開発と挑戦の連続で、生みの苦しみを存分に味わったが、10年の歳月を経て、やっと完成することができた。この「システム指針」の特質を一口で表現すれば、これまでの「親族後見人」又は「専門家後見人」とは違った資質を持った新たな「市民後見人」の育成と活用を踏まえ、現行の成年後見法制との整合性を図りながら、法人後見における新しい後見職務のあり方を明らかにした点にある。
 第2の「安定した財政基盤の確立」については、発足後10年間、1時期Ⅴ字型の落ち込みを経験したものの、終始一貫して黒字決算を維持し、相当額の損害賠償積立金を積み上げることができたことは、安定した財政システムの構築が、一応出来上がった証拠であると思う。
 
3 更なる飛躍に向けて、任意後見制度の活性化を図ろう!   
 このように、会員全員の一致協力のもとに二大施策は実現できるに至ったが、、今後の課題は、引続き、本「システム指針」に基づいて後見事務を適正・円滑に処理できる多数の人材を育成すること、また、これまでに築き上げた財政システムについても、採算性を図りつつ、的確に運用できる人材の育成であることには、変わりがない。しかし、これまでと異なるのは、前述の2大施策に注ぎ込んだ膨大なエネルギーを、今後は新たな目標に対して、ある程度振り向けることが可能になったことである。
  そこで、どんな課題に取り組むのが最善の方策であるかである。
  平成25年末現在における全国の成年後見制度の利用者総数は、176.564人。その中で、任意後見の利用数は1.999人で、全体の1.1%、つまり、法定後見利用者百人に対し1人である。極端に低い利用率であることが判る。
  ところで、当法人の基本目標である「判断能力の不十分な高齢者や障害者の皆さんが、いつでも、どこでも、容易に、成年後見制度を利用して、安心した生活を送ることのできる社会をつくろう!」という地域後見の理念から言うと、自己決定権が強く働く任意後見の方が、法定後見より利用度が高いのが望ましいから、任意後見に注力して、その活性化を図ることは、必要不可欠である。したがって、当法人が、「地域後見の実現」を基本目標に掲げる以上、新たに「任意後見制度の活性化」の課題について当法人全体が一致して取り組み、利用度向上の有効な諸方策を講じ、ノウハウを取得して、その活性化を尽力することは、当法人に課せられた使命だと思う。是非とも、任意後見の活性化を実現したいものである。
[PR]
by seinen-kouken | 2014-06-29 15:12 | 随想