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地域包括ケアシステムの構築と新しい地域支援事業

 1 「新しい地域支援のあり方」をテーマにしたフォーラムの開催    
 筑紫野市の第3次フォローアップ研修のカリキュラムでは、明年早々の27年1月10日(土)、同市の生涯学習センターにおいて「新しい地域支援事業のあり方」をテーマにしたフォーラムの開催が予定されている。
 このフォーラムの主催者は、筑紫野市と「さわやか福祉財団」で、当法人も共催者として参加している。フォーラム開催の真の狙いは、「地域包括ケアシステムの構築」に向けて、筑紫野市及びその周辺の地域住民や各種団体の皆さんに力強い協力や支援の呼び掛けをすることである。
 ところで、このような大々的な呼び掛けをしてまで構築しなければならない地域包括ケアシステムとは、一体どんなシステムで、どうしてそのシステムが必要不可欠かということを理解することが重要である。

2 地域包括ケアシステムの意義 
 そこで問題になるのは、団塊の世代の単身高齢者や高齢者夫婦のみの世帯の急増が見込まれ、10年後には、「後期高齢者2.000万人社会」の到来が確実になっていることである。その結果、現在でも、国民の使う医療・介護費は、毎年膨張し、財政を圧迫し続けて、窮地にあるのに、現行の医療・介護保険制度をそのまま継続すれば、国家財政が破綻するのは、目に見えて明らかである。
 そこで、このような憂慮すべき事態を防止するため、現行の医療・介護サービス体系の改善・効率化だけに頼らず、緊急かつ最重要な国の政策として新たに創設された施策が、この地域包括ケアシステムである。すなわち、このケアシステムとは、「地域ごとに、医療、介護、生活支援、住まい、介護予防の各サービスを一体的に組み合わせて提供できる仕組みを作り上げて、高齢者が住み慣れた地域において、最後まで安心して暮せる社会を構築しよう!」ということにある。

3 システム構築の目途
 国は、我国の医療・介護保険制度を破綻させることなく、いつまでも持続可能とすることを目的として、平成25年には、「持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律」を成立させた。そして、同27年度の介護保険法の改正を手始めに、関係法令の改正を行って、2025年を目途に、この地域包括ケアシステムの構築を実現することとしたのである。

4 システム構築の大眼目・・・その1
 この政策課題の大眼目は、2つあると思う。
 その第1は、国民の老齢期における「人生の生き方」の大転換を企図していることである。現在、人生の最終ステージは、病院や施設で終わるという生き方が、社会に根深く定着しているが、そのような考え方と全く異なって、人は重度の要介護の老齢期においても、住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを最後まで続けるという生き方を社会全体として目指すということである。このことは、医療・介護保険制度の目的とする個人の尊厳の保持と自立の支援という福祉の理念に最も良く適合するものと言える。しかし、住民の皆さんにしみ込んだ意識の改革は並大抵ではなく、それを実現するには、多大な啓発・宣伝エネルギーと「住み慣れた地域で、最ごまで暮らすことができる。」という安心感の醸成が必要・不可欠である。

5 システム構築の大眼目・・・その2
 そして、その大眼目の第2は、地域包括ケアシステムを構築するに当たって、勿論、在宅医療と介護の連携の推進や在宅サービスの見直しと質の向上を図る必要があるが、地域住民の皆さんの多様な主体による助け合い活動が重要な役割を担うことである。
 このケアシステムでは、介護予防訪問介護、通所介護は、市町村が主体的に行うことのできる地域支援事業の総合事業に移行することになるが、例えば、移行後の新総合事業をみると、訪問・通所介護とも、①.既存の介護事業者によるサービス、②NPO等各種事業者による生活支援サービス、③.ボランティアや住民主体による生活支援サービス等、地域住民参加による多様な主体による重層的な生活支援サービスの提供が前提条件となっている。その中で、特に高齢者による高齢者の助け合いが、強く求められているのが注目される。人生の現役時代を終えて、なお、元気で働く意欲が旺盛な人達は多数にのぼる。これ等の人たちを助け合いの有力な資源にしたいという考え方である。

6 生活支援サービスのコーディネイター役・・・・・市民後見人との共通性
 ところで、このケアシステムでは、判断能力のない人達に対する多様な主体による医療、介護、介護予防・生活支援サービスの世話役(コーディネイト役)は、「地域後見」の主役、すなわち、いつでも、どこでも、容易に成年後見制度を利用して、安心した生活を送ることのできる社会の主役は、助け合い精神に富んだ市民後見人である。したがって、「地域後見の実現」と「地域包括ケアシステムの構築」とは、その核となる「地域助け合い」の点で、密接な関係にあることは明らかである。したがって、持続可能な社会保障制度の確立という観点からのみならず、「地域後見の実現」の観点からも、何としても、地域包括ケアシステムの構築は、成功してもらいたいと願っており、当法人としても、その成功のため、できるだけの協力はしていくべきだと思っている。
 そこで、来年1月10日の「新しい地域支援事業のあり方」のフォーラムの開催を契機に、当法人は具体的に地域包括ケアシステムにどう向き合うべきか前向きに検討し、具体的な方針を明確化したいと思っている。           
 注 NPO法人高齢者・障害者安心サポートネットは、平成28年2月、地域住民の生活支援サービ  スと死後事務サービスの提供を事業目的とする「NPO法人地域生活・死後事務安心サポート   ネット」を設立、既に事業活動を開始した。
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by seinen-kouken | 2014-12-21 15:50