第4回市民後見人育成研修を成功させよう!

地域住民の皆さんのニーズに応えて
第4回市民後見人育成研修を成功させよう!
1、独自の第4回市民後見人育成研修
当法人は、これまで様々な「市民後見人育成研修」を実施して、「市民後見人」の育成に努めてきた。第1 は、 研修予算の全額を自前で賄う独自のMPO研修、第2は、厚労省の市民後見推進事業によって行う研修、第3は、自治体独自予算による受託研修、第4は、熊本市で行った県外研修等である。
  そのなかでも、第1の「市民後見人育成研修」は、平成18年に第1回、同19年に第2回、同22年に第3回を開催したが、この一連の研修は、全国でも類を見ない画期的な研修として高い評価を受けた。
一方ではお蔭様で、当法人は、「後見実務の適正・円滑な処理システムや安定した財政基盤」も確立できたので、それを踏まえて、本年9月開催の理事会で、「第4回市民後見人育成研修の実施」を全会一致で決議した。研修期間及び期日は、平成28年の1月23日の開講日から同5月14日の閉講日まで毎月第2土曜日と第4土曜日で、総時間は48時間である。
  もちろん、この第4回研修は、厚労省の「市民後見推進事業」に基づき市町村が行ってきた養成研修の受託とは異なり、当法人が従来から行ってきた、当法人独自の社会貢献型市民後見人養成研修である。
2 本研修実施の意義
それでは、この時期、当法人が総力を結集して、第4回研修の実施に取組む意義は何か?それには2つある。
第1の意義は、地域住民の皆さんに、市民後見人が元気で意気盛んなことを認識してもらう必要があること。
  最近、有力な日刊新聞記者から、「近頃、市民後見人の養成や活動が沈滞気味なのはなぜか?」という取
材を受けた。即座に、「家庭裁判所が、親族後見人と同様、市民後見人についても、その育成と活用に冷淡だからではないか。」と答えると、「なぜ冷淡なのか?」と問うので、「家裁には妙な偏見があって、親族や市民後見人の長所は目をつぶり、リスクだけを大袈裟に受けとめているからではないか。」と答えた。畳み掛けるように、「それなら、なぜ家裁はそのリスクを無くすための指導監督に努めて、制度の活性化を図らないのか?」と質問するので、「家裁が地域住民のニーズに耳を傾ける役所だったら、そうするだろう。いまの家裁は、自己保身に汲々として、地域住民のニーズに目をつぶってばかりいるからではないか、残念ながら、地域住民の制度や家裁に対する不信感は、広がっていると思う。」と、これまでの見聞で実感したままを述べた。
  今後、益々進展する少子・超高齢社会に適切に対応するには、地域住民の皆さんのニーズ、すなわち、「判断能力の不十分な皆さんが、いつでも、どこでも、容易に成年後見制度を利用して、安心した生活を送ることのできる社会をつくろう!」という[地域後見]に根ざし、身上監護を重視した成年後見制度が必要不可欠である。このような地域住民のニーズに十分応え得る資質を有するのは、市民後見人であるから、その市民後見人を多数育成して、地域社会の熱い期待と信頼に応えることが必要である。ところが、現状は、その柱となるべき厚労省の市民後見推進事業が沈滞気味である。
そこで、当法人が、この時期、高水準の研修を実施して、市民後見人の育成と活用を活発化させ、市民後見人をめぐる沈滞ムードの打破を図ることは、大変意義深いことだと思う。
第2の意義は、当法人がこれまで以上に、福祉の増進に寄与するためには、後継者を養成し、安心サポートネットの文化や処理システム等の継承を図ることが必要・不可欠であること。
① 当法人は、27年10月末現在、後見人等の就任数は155名、未就任数は○○名で、この数は今後とも増加が見込まれるところ、これらの人達は、当法人に全幅の信頼を寄せて、それぞれの人生の支援を当法人に全面的に委ねている人達である。したがって、当法人はどんなことがあっても、その人達を最期まで当法人の特質である活動指針と安心サポートネットの文化をもって支援する責任は全うしなければならない。
② 次に、当法人は、任意後見契約等の契約締結、各種申立て補助、遺言執行、死後事務の受任等の事業を行っているが、これら3か年平均の年間処理件数も、204件に達する。今後の当法人における高齢者・障害者に対する社会貢献を考えると、これらの適正円滑な処理システムやノウハウも、後継者に継承する必要がある。
3 成功を収めるための条件
この第4回研修は、ボランティア活動に情熱のある者を対象に70名の受講者を公募して行うが、その実施については、既に、福岡県、福岡市をはじめ、周辺市町村及び社会福祉協議会、更には、NHKや各新聞社の後援を得ている。また、本研修を成功に導くための重要な条件は、受講者の活発な募集活動並びに質が高く、充実したカリキュラムの策定と実践である。その観点から、万全を期すべく、現在、メディアの利用や会員によるキャラバン隊を中心に、積極的に受講者の募集活動に取り組んでいるところである。
  会員の皆さんにおかれても、本研修の重要性と必要性について十分ご理解いただき、是非とも、充実した実りある研修が実施され、成功裡に終了するようご尽力願いたい。特に、受講者の募集活動や研修実施のための諸準備作業については、格別のご協力とご支援をお願いしたい。
以 上
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# by seinen-kouken | 2015-12-20 17:09

飛躍を目指し新しい分野に挑戦しよう

 1 順調な充実・発展
 当法人は、成年後見制度の活性化を旗印に設立して、はやくも、11年が経過しました。この間、当法人は、幾多の困難に挑戦しながらも、これを克服し、順調に充実・発展を遂げ、もって、地域社会に寄与できていることを大変嬉しく、また、誇りに思います。これも、一重に当法人の役員や会員の皆様、並びに、陰に陽に温かいご協力をいただいている多数の支援者の皆様方の並々ならぬご尽力の賜物であると、心から敬意と謝意を申し上げます。
2 高齢者・障害者・・・厳しい環境
 ところで、我が国の経済は、長く低迷していましたが、大胆なアベノミクスが実施されて、見事に息を吹き返し、消費税増税の落ち込みも回復し、景気の上向きが伝えられています。しかし、他方では、高齢者・障害者の福祉と権利擁護に関する環境は、一段と厳しさを増しています。10年後に迎える「後期高齢者2.000万人社会」において持続可能な介護保険制度を確保するため、「地域包括ケアシステムの構築」のための施策が、着々と実行に移されているところです。
3 事業業績の総括
 このような状況下において、当法人は、第1に「後見人等の受任拡大及びその条件整備」、第2に「人材の育成」、第3に「地域後見の実現」の3つの重点目標を設定して、鋭意その実現に努力してまいりました。
  その成果はどうだったか?5月30日開催の第11回通常総会における事業報告では、「事業業績面では、ほぼ横ばいで推移したものの、「受任拡大の条件整備」や「人材育成」の面では、かなりの前進が見られたため、来期以降の事業展開に明るい見通しが出てきた1年だった。」と総括しています。
4 ・すべての基盤づくり・・・システム指針の完成
 このような将来に希望の持てる総括がなされた理由は、当法人が、長年の最重点施策として取り組んできた施策、すなわち、「当法人における後見実務と指導・監督システム指針」(以下、「システム指針」という。)の策定が、実質上完成したことが大きな要因であると思います。このシステム指針は、当法人が行う後見人等の受任、後見事務の適正・円滑な処理、指導監督の面は言うに及ばず、無料相談、市民後見養成研修等の各種研修等、様々な分野で大いに活用されて、スムーズな事業遂行に多大な貢献をしているからです。
  このことを換言すれば、このシステム指針が後見開始から死後事務に至るまで後見事務処理全般を網羅して、単なる「指導指針」としての機能にとどまらず、「考える力を養う処理マニュアル」の機能も持っているため、当法人が行うすべての事業の基盤(礎)としての役割を果たしているからです。ここに、一応未成熟ながら、当法人は、その基盤づくりができた!ということになります。
  また、当法人の事業収入も毎年黒字を維持、損害賠償準備金も相当程度積み上がり、財政的に安定してきたことも、基盤づくりに一役買っています。
5 任意後見受任体制の整備と新NPO法人の設立
 このような基盤づくりを土台にして、当法人の更なる飛躍を目指し、26年度において次に述べる新しい分野に挑戦する準備を行い、これが着実に前進したことで、前述の将来に希望の持てる総括になったわけです。
  第1は、法定後見から自己決定権の尊重の理念による任意後見へ当法人の軸足を移すことを目的とした「会員による任意後見受任体制の整備」です。
任意後見研究会における研修を強化し、任意後見のシステムや任意後見契約(移行型)の締結方法、留意点等を履修して、受任及びその支援のできる人材の育成を図ってきました。
  第2は、生活支援事業、死後事務処理等を事業目的とするNPO法人の設立です。広く地域社会の人達を対象に死後事務サービス及び「生活支援サービス」を提供するためには、NPO法人化は必然の成り行きで、そのため、死後事務研究会では、法人化及び生活支援等の各種サービスのノウハウについて検討してきました。
 当法人の27年度事業計画では、引き続き新しい分野である「会員による任意後見受任体制の整備」と「死後事務研のNPO法人化」に挑戦して、その実現を図ることになっています。
前者では、会員による任意後見受任の試行等を実施して、本格的な受任体制を整備するための新たな準備作業を行う計画であり、後者では、NPO法人の設立を終え、少なくとも発足当初から事業活動を展開し、事業運営の基盤づくりをする計画です。
6 大きな転換点
 当法人は、新しい分野に挑戦する決断をしたことにより、大きな転換点に差し掛かっています。この2大施策を実現し、円滑な軌道に乗せるためには、多くの困難を克服し、耐えがたき苦労に耐えることが必要です。また、新しい分野に挑戦するには、「安心サポートネットの文化」と「情熱」を持って臨むことが、成功の鍵だと思います。成功した暁には、当法人には、今まで見えなかった社会貢献の素晴らしい景色が見えると思います。読者の皆さんと一緒に是非とも、その景色を見たいものです。
青春とは年齢ではない。青春とは何時までも青年のような好奇心と胸の奥に沸々とたぎる情熱のある限り、青春である。   以 上
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# by seinen-kouken | 2015-07-07 17:52

先輩OBから後輩高校生へ!

 この2月、私の出身母校の八女高校から、「OB として一言後輩を励まして欲しい。」という要請を受けた。「私は現役時代から20年も経た年配者だから、不適任である。」と固辞したが、「それでも何とか頼む。」と強く請われて、現在の活動の源泉である「考える力」について、下記のとおり有りのままの思いを書き送った。高校生にも、高齢者・障害者支援活動の一端を知ってもらえば、有難いと思ったからである。

 現在は、核家族・少子超高齢社会の真っただ中、団塊の世代が75歳に達する2025年に向けて、判断能力が不十分なため、自立した生活を送ることが困難な人達が急増するだろう。その最も効果的な対応策は、素晴らしい人権擁護機能と生活保持機能をもつ成年後見制度の活用とその定着である。
 そこで、私の主宰するNPO法人は、「判断能力の不十分な高齢者・障害者の皆さんが、いつでも、どこでも、容易に成年後見制度を利用して、安心した生活を送ることのできる社会をつくろう!」という「地域後見」を旗印に、その実現に努めている。また、[地域後見の実現]という本を出版して、全国にその情報を発信した。そして、地域後見の主役は、ボランティア精神の旺盛な「市民後見人」であるから、全国に先駆けて、その養成と活用に尽力している。
 間もなく傘寿を迎えようとする私には、忙し過ぎる毎日ではあるが、「社会貢献」と創意に満ちた仕事の充実感にどっぷり浸ることができ、大いに感謝している。このような過ごし方ができるのも、法務省を退職するまでの現役時代、例えば、登記事務のコンピュータ化の超大プロジェクトに行政側のシステム開発責任者として従事したり、田中元首相の日本列島改造論の影響による地籍混乱地域の解消に取り組んだりする等、困難な仕事があれば、臆せず挑戦し、常に創造力や企画力を培った結果だと思う。創造力・企画力の源泉は、「考える力」である。「考える力」が身に付けば、チャレンジ精神も自然と出てくる。
 皆さんは学業に励み、やがて、社会に旅立たれるが、いつでも「考える力」を培うという心掛けさえ持って臨めば、やがて「考える力」が身に付き、きっと良い結果と充実した人生が送れると思う。健闘を期待したい。
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# by seinen-kouken | 2015-03-04 18:22

地域包括ケアシステムの構築と新しい地域支援事業

 1 「新しい地域支援のあり方」をテーマにしたフォーラムの開催    
 筑紫野市の第3次フォローアップ研修のカリキュラムでは、明年早々の27年1月10日(土)、同市の生涯学習センターにおいて「新しい地域支援事業のあり方」をテーマにしたフォーラムの開催が予定されている。
 このフォーラムの主催者は、筑紫野市と「さわやか福祉財団」で、当法人も共催者として参加している。フォーラム開催の真の狙いは、「地域包括ケアシステムの構築」に向けて、筑紫野市及びその周辺の地域住民や各種団体の皆さんに力強い協力や支援の呼び掛けをすることである。
 ところで、このような大々的な呼び掛けをしてまで構築しなければならない地域包括ケアシステムとは、一体どんなシステムで、どうしてそのシステムが必要不可欠かということを理解することが重要である。

2 地域包括ケアシステムの意義 
 そこで問題になるのは、団塊の世代の単身高齢者や高齢者夫婦のみの世帯の急増が見込まれ、10年後には、「後期高齢者2.000万人社会」の到来が確実になっていることである。その結果、現在でも、国民の使う医療・介護費は、毎年膨張し、財政を圧迫し続けて、窮地にあるのに、現行の医療・介護保険制度をそのまま継続すれば、国家財政が破綻するのは、目に見えて明らかである。
 そこで、このような憂慮すべき事態を防止するため、現行の医療・介護サービス体系の改善・効率化だけに頼らず、緊急かつ最重要な国の政策として新たに創設された施策が、この地域包括ケアシステムである。すなわち、このケアシステムとは、「地域ごとに、医療、介護、生活支援、住まい、介護予防の各サービスを一体的に組み合わせて提供できる仕組みを作り上げて、高齢者が住み慣れた地域において、最後まで安心して暮せる社会を構築しよう!」ということにある。

3 システム構築の目途
 国は、我国の医療・介護保険制度を破綻させることなく、いつまでも持続可能とすることを目的として、平成25年には、「持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律」を成立させた。そして、同27年度の介護保険法の改正を手始めに、関係法令の改正を行って、2025年を目途に、この地域包括ケアシステムの構築を実現することとしたのである。

4 システム構築の大眼目・・・その1
 この政策課題の大眼目は、2つあると思う。
 その第1は、国民の老齢期における「人生の生き方」の大転換を企図していることである。現在、人生の最終ステージは、病院や施設で終わるという生き方が、社会に根深く定着しているが、そのような考え方と全く異なって、人は重度の要介護の老齢期においても、住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを最後まで続けるという生き方を社会全体として目指すということである。このことは、医療・介護保険制度の目的とする個人の尊厳の保持と自立の支援という福祉の理念に最も良く適合するものと言える。しかし、住民の皆さんにしみ込んだ意識の改革は並大抵ではなく、それを実現するには、多大な啓発・宣伝エネルギーと「住み慣れた地域で、最ごまで暮らすことができる。」という安心感の醸成が必要・不可欠である。

5 システム構築の大眼目・・・その2
 そして、その大眼目の第2は、地域包括ケアシステムを構築するに当たって、勿論、在宅医療と介護の連携の推進や在宅サービスの見直しと質の向上を図る必要があるが、地域住民の皆さんの多様な主体による助け合い活動が重要な役割を担うことである。
 このケアシステムでは、介護予防訪問介護、通所介護は、市町村が主体的に行うことのできる地域支援事業の総合事業に移行することになるが、例えば、移行後の新総合事業をみると、訪問・通所介護とも、①.既存の介護事業者によるサービス、②NPO等各種事業者による生活支援サービス、③.ボランティアや住民主体による生活支援サービス等、地域住民参加による多様な主体による重層的な生活支援サービスの提供が前提条件となっている。その中で、特に高齢者による高齢者の助け合いが、強く求められているのが注目される。人生の現役時代を終えて、なお、元気で働く意欲が旺盛な人達は多数にのぼる。これ等の人たちを助け合いの有力な資源にしたいという考え方である。

6 生活支援サービスのコーディネイター役・・・・・市民後見人との共通性
 ところで、このケアシステムでは、判断能力のない人達に対する多様な主体による医療、介護、介護予防・生活支援サービスの世話役(コーディネイト役)は、「地域後見」の主役、すなわち、いつでも、どこでも、容易に成年後見制度を利用して、安心した生活を送ることのできる社会の主役は、助け合い精神に富んだ市民後見人である。したがって、「地域後見の実現」と「地域包括ケアシステムの構築」とは、その核となる「地域助け合い」の点で、密接な関係にあることは明らかである。したがって、持続可能な社会保障制度の確立という観点からのみならず、「地域後見の実現」の観点からも、何としても、地域包括ケアシステムの構築は、成功してもらいたいと願っており、当法人としても、その成功のため、できるだけの協力はしていくべきだと思っている。
 そこで、来年1月10日の「新しい地域支援事業のあり方」のフォーラムの開催を契機に、当法人は具体的に地域包括ケアシステムにどう向き合うべきか前向きに検討し、具体的な方針を明確化したいと思っている。           
 注 NPO法人高齢者・障害者安心サポートネットは、平成28年2月、地域住民の生活支援サービ  スと死後事務サービスの提供を事業目的とする「NPO法人地域生活・死後事務安心サポート   ネット」を設立、既に事業活動を開始した。
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# by seinen-kouken | 2014-12-21 15:50

 任意後見制度の活性化に挑戦しよう!

1 記念論文集の発刊
 当法人は、昨年5月、創立10周年を迎えるに当たり、これまで順調に充実・発展の道をたどることができたことを心から祝福する趣旨で、「懇親祝賀会」、「安心の広場の記念特集」、「記念論文集の発刊」の3記念行事を計画・実施した。
  その3つ目の「記念論文集」も近く日本加除出版社から出版される予定である。題名は当法人の基本目標である「地域後見の実現」・「その主役・市民後見人」である。編著者は、小職と法務省官房審議官として成年後見制度の立法に携わった小池弁護士の2名が担当し、執筆者としては、尊崇して止まない福祉の卓越した指導者、さわやか福祉財団堀田力会長を初め、社会保障分野でご活躍の熊本県立大学石橋教授、権利擁護分野でご活躍の日本福祉大学元教授の秋本誠氏、市民後見育成に熱心な東京大学政策ビジョン研究センター元特任助教の宮内康二氏にご協力をいただいた。
  本書が読者にどんな影響を与えるかは、出版されてみないと、全く不透明だが、少なくとも、当法人の事業内容、特徴、仕組み等を紹介して、「地域後見」の実現に取り組む当法人の姿を描くことができたと思う。また、いわゆる小職の持論である、介護上の同意や医療上の同意、更には、本人に寄り添う行為や勇気付けの行為等の事実行為が身上監護事務に含まれるという理論を展開して、身上監護の重要性・実効性をも力説することができた。その意味では、10周年記念としてふさわしい論文集になったと自負している。

2 当法人の10年の歩み 
 ところで、創立から10年という歳月の流れとともに、当法人も年相応に成長し、取り組んできた諸重点施策についても、それ相応の成果を上げてきた。
  26年度は、人に例えれば、伸び盛りの11歳である。もちろん、当法人の「地域後見」の実現という基本目標は、11歳に成長しても不変であるが、11歳なった当法人が、過去10年の歩みを検証し、それを踏まえて、これまでとは違った面で、新たな施策に挑戦することは、大変意義深いことである。
  過去10年の歩みの中で、当法人の最重点施策として継続して取り組んできたのは、次の2方策である。
第1が、「当法人における後見実務と指導・監督システム指針」(以下、「システム指針」という。)の策定であり、第2が「安定した財政基盤の確立」である。
 第1の「システム指針」は、後見事務全般を網羅した「処理マニュアル」としての性格を持ち、市民後見人が後見事務を適正かつ合理的に処理し、その円滑な指導監督を行うためには、必要不可欠なものである。
 しかし、その策定作業は、未知の世界へ零からの出発であったから、開発と挑戦の連続で、生みの苦しみを存分に味わったが、10年の歳月を経て、やっと完成することができた。この「システム指針」の特質を一口で表現すれば、これまでの「親族後見人」又は「専門家後見人」とは違った資質を持った新たな「市民後見人」の育成と活用を踏まえ、現行の成年後見法制との整合性を図りながら、法人後見における新しい後見職務のあり方を明らかにした点にある。
 第2の「安定した財政基盤の確立」については、発足後10年間、1時期Ⅴ字型の落ち込みを経験したものの、終始一貫して黒字決算を維持し、相当額の損害賠償積立金を積み上げることができたことは、安定した財政システムの構築が、一応出来上がった証拠であると思う。
 
3 更なる飛躍に向けて、任意後見制度の活性化を図ろう!   
 このように、会員全員の一致協力のもとに二大施策は実現できるに至ったが、、今後の課題は、引続き、本「システム指針」に基づいて後見事務を適正・円滑に処理できる多数の人材を育成すること、また、これまでに築き上げた財政システムについても、採算性を図りつつ、的確に運用できる人材の育成であることには、変わりがない。しかし、これまでと異なるのは、前述の2大施策に注ぎ込んだ膨大なエネルギーを、今後は新たな目標に対して、ある程度振り向けることが可能になったことである。
  そこで、どんな課題に取り組むのが最善の方策であるかである。
  平成25年末現在における全国の成年後見制度の利用者総数は、176.564人。その中で、任意後見の利用数は1.999人で、全体の1.1%、つまり、法定後見利用者百人に対し1人である。極端に低い利用率であることが判る。
  ところで、当法人の基本目標である「判断能力の不十分な高齢者や障害者の皆さんが、いつでも、どこでも、容易に、成年後見制度を利用して、安心した生活を送ることのできる社会をつくろう!」という地域後見の理念から言うと、自己決定権が強く働く任意後見の方が、法定後見より利用度が高いのが望ましいから、任意後見に注力して、その活性化を図ることは、必要不可欠である。したがって、当法人が、「地域後見の実現」を基本目標に掲げる以上、新たに「任意後見制度の活性化」の課題について当法人全体が一致して取り組み、利用度向上の有効な諸方策を講じ、ノウハウを取得して、その活性化を尽力することは、当法人に課せられた使命だと思う。是非とも、任意後見の活性化を実現したいものである。
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# by seinen-kouken | 2014-06-29 15:12 | 随想