任意後見制度の活性化に挑戦しよう!

1 記念論文集の発刊
 当法人は、昨年5月、創立10周年を迎えるに当たり、これまで順調に充実・発展の道をたどることができたことを心から祝福する趣旨で、「懇親祝賀会」、「安心の広場の記念特集」、「記念論文集の発刊」の3記念行事を計画・実施した。
  その3つ目の「記念論文集」も近く日本加除出版社から出版される予定である。題名は当法人の基本目標である「地域後見の実現」・「その主役・市民後見人」である。編著者は、小職と法務省官房審議官として成年後見制度の立法に携わった小池弁護士の2名が担当し、執筆者としては、尊崇して止まない福祉の卓越した指導者、さわやか福祉財団堀田力会長を初め、社会保障分野でご活躍の熊本県立大学石橋教授、権利擁護分野でご活躍の日本福祉大学元教授の秋本誠氏、市民後見育成に熱心な東京大学政策ビジョン研究センター元特任助教の宮内康二氏にご協力をいただいた。
  本書が読者にどんな影響を与えるかは、出版されてみないと、全く不透明だが、少なくとも、当法人の事業内容、特徴、仕組み等を紹介して、「地域後見」の実現に取り組む当法人の姿を描くことができたと思う。また、いわゆる小職の持論である、介護上の同意や医療上の同意、更には、本人に寄り添う行為や勇気付けの行為等の事実行為が身上監護事務に含まれるという理論を展開して、身上監護の重要性・実効性をも力説することができた。その意味では、10周年記念としてふさわしい論文集になったと自負している。

2 当法人の10年の歩み 
 ところで、創立から10年という歳月の流れとともに、当法人も年相応に成長し、取り組んできた諸重点施策についても、それ相応の成果を上げてきた。
  26年度は、人に例えれば、伸び盛りの11歳である。もちろん、当法人の「地域後見」の実現という基本目標は、11歳に成長しても不変であるが、11歳なった当法人が、過去10年の歩みを検証し、それを踏まえて、これまでとは違った面で、新たな施策に挑戦することは、大変意義深いことである。
  過去10年の歩みの中で、当法人の最重点施策として継続して取り組んできたのは、次の2方策である。
第1が、「当法人における後見実務と指導・監督システム指針」(以下、「システム指針」という。)の策定であり、第2が「安定した財政基盤の確立」である。
 第1の「システム指針」は、後見事務全般を網羅した「処理マニュアル」としての性格を持ち、市民後見人が後見事務を適正かつ合理的に処理し、その円滑な指導監督を行うためには、必要不可欠なものである。
 しかし、その策定作業は、未知の世界へ零からの出発であったから、開発と挑戦の連続で、生みの苦しみを存分に味わったが、10年の歳月を経て、やっと完成することができた。この「システム指針」の特質を一口で表現すれば、これまでの「親族後見人」又は「専門家後見人」とは違った資質を持った新たな「市民後見人」の育成と活用を踏まえ、現行の成年後見法制との整合性を図りながら、法人後見における新しい後見職務のあり方を明らかにした点にある。
 第2の「安定した財政基盤の確立」については、発足後10年間、1時期Ⅴ字型の落ち込みを経験したものの、終始一貫して黒字決算を維持し、相当額の損害賠償積立金を積み上げることができたことは、安定した財政システムの構築が、一応出来上がった証拠であると思う。
 
3 更なる飛躍に向けて、任意後見制度の活性化を図ろう!   
 このように、会員全員の一致協力のもとに二大施策は実現できるに至ったが、、今後の課題は、引続き、本「システム指針」に基づいて後見事務を適正・円滑に処理できる多数の人材を育成すること、また、これまでに築き上げた財政システムについても、採算性を図りつつ、的確に運用できる人材の育成であることには、変わりがない。しかし、これまでと異なるのは、前述の2大施策に注ぎ込んだ膨大なエネルギーを、今後は新たな目標に対して、ある程度振り向けることが可能になったことである。
  そこで、どんな課題に取り組むのが最善の方策であるかである。
  平成25年末現在における全国の成年後見制度の利用者総数は、176.564人。その中で、任意後見の利用数は1.999人で、全体の1.1%、つまり、法定後見利用者百人に対し1人である。極端に低い利用率であることが判る。
  ところで、当法人の基本目標である「判断能力の不十分な高齢者や障害者の皆さんが、いつでも、どこでも、容易に、成年後見制度を利用して、安心した生活を送ることのできる社会をつくろう!」という地域後見の理念から言うと、自己決定権が強く働く任意後見の方が、法定後見より利用度が高いのが望ましいから、任意後見に注力して、その活性化を図ることは、必要不可欠である。したがって、当法人が、「地域後見の実現」を基本目標に掲げる以上、新たに「任意後見制度の活性化」の課題について当法人全体が一致して取り組み、利用度向上の有効な諸方策を講じ、ノウハウを取得して、その活性化を尽力することは、当法人に課せられた使命だと思う。是非とも、任意後見の活性化を実現したいものである。
# by seinen-kouken | 2014-06-29 15:12 | 随想

創立10周年記念特集に寄せて 「365歩のマーチ!」

           創立10周年記念特集に寄せて
                     「365歩のマーチ!
                                    理事長 森 山 彰
1 記念の3行事
 当法人は、平成16年5月に発足。今年で、「創立10周年を迎えたが、この祝福すべき慶事の記念 として3つの行事が計画された。
 その1つが、去る5月25日アークホテルで開催された10周年記念懇親会であった。藤田筑紫野市長をはじめ、総勢19名のご来賓を迎え、盛大に行われ、数々の暖かい励ましのお言葉をいただき、会員一同大変感激したところである。
 2つ目の計画が、本誌における10周年記念特集の発刊である。10周年という大きな節目に当って、会員の感慨や抱負、当法人に寄せる要望や期待、会員相互の親睦や交流等の記事を特集することは大変有意義なことだし、当法人の風通しと相互理解の面で大きなプラス効果がある。このような意図で特集されたので、是非熟読願いたい。
 3つ目の企画が、大手出版社による本の出版である。題名は「地域後見の実現と市民後見人の役割」(仮称)、執筆者は当職を含め、市民後見に賛同する大学教授、弁護士等で、出版予定は来春である。

2「365歩のマーチ」・処世訓
 ところで、当法人の合同懇親会や研修会の終了に際して、参加者全員で肩組んで合唱するのが、「365歩のマーチ」である。軽快なテンポに勢いがあり、特に歌詞がよくて、私の大好きな歌である。その歌詞を平たく解釈すると、「幸せをつかむには、1歩、1歩着実に前進することが必要だが、適宜後退することも肝心である。苦境にくじけず努力をすれば、遂には、成功して栄えるだろう!・・という趣旨で、この歌の作詞家、星野哲郎は、真っ当な人生訓を歌ってヒットするのは、水前寺清子だけしかいないと思って、作詞したものと思う。特に、「3歩進んで、2歩さがる」に連動して「花が咲く」の言葉をおり込んでいるのが心憎い。
 しかし、この作詞の内容は、戦争における立派な戦術訓にもなり、現代の企業競争における優れた経営訓でもある。更にいえば、当法人が当面する諸課題に対する処世訓でもある。

3 地域後見による成果
 ご承知のとおり、高齢者・障害者の皆さんが安心した生活を実現するために、当法人が提唱している基本目標は、「判断能力の不十分な高齢者・障害者の皆さんが、いつでも、どこでも、容易に成年後見制度を利用して、安心した生活を送ることのできる社会をつくろう!」という「地域後見」の実現である。そして、その主役は、いつでも、どんな地域でも、後見人として養成でき、また、活動できる、親しみ易い「市民後見人」である。
 これまで、当法人は、毎年この「地域後見」の実現を重点施策に掲げて努力してきた結果、ある程度の成果を収めることができた。その具体例が、➀.平成18年以降、毎年のごとく、「市民後見人育成研修」を実施してきたため、多数の後見人をはじめ、関連分野で活躍する多くの人材を育成できたこと、➁、厚労省の市民後見人養成研修の受託もできたこと。そして、➂.最大の成果は、熊本に当法人と同じ事業目的をもったNPO法人を設立できたこと、等である。

4「3歩進んで、2歩さがる」
 しかし、その反面、この拡大路線の結果、業務範囲が当法人の実力以上に拡がり、それに業務処理能力や人材の育成が追いつかないという「ひずみ」を生じたことも否定できない。また、そのために、地域住民のニーズに十分対応できない弱点も露見した。
それでは、この状態を改善するために必須の対策とは何か?その回答は、「3歩進んで、2歩さがる」である。この「2歩さがる期間」で、最も力を入れて取り組むべき2大方策の1つは、人材の育成、特に「市民後見人を指導監督できる市民後見人の育成」である。この面で、手っ取り早い方法は、「後見実務と指導監督システム指針」の習熟と事件処理のノウハウの修得であるが、「人材育成(ローマ)は一朝にしてならず!」、これには、研鑽に研鑽の積み重ねが必要である。

5 組織を支える人材育成
 他の方策の1つは、当法人の能力を最大限発揮することのできる組織づくりだろう。業務量が多くなると、責任体制のしっかりした組織の力が威力を発揮する。如何に業務拡大に適合した組織を創り上げるかが課題である。新組織を支える経営マインド、強いリーダーシップ、創造力、実行力、調整力等、行き着く先は、やはり多様な分野における人材の育成である。
 今後とも、当法人の基本目標は、「地域後見」の実現であるが、この10周年を機に、3歩前進・2歩後退の精神をもって、しっかりと人材育成に取り組んで、足腰のしっかりした組織づくりを行いながら、「地域後見」を推進していきたいと考えている。会員の皆さんには、このことを十分ご理解いただいて、力強いご支援・ご協力をお願いするとともに、当法人を支える有為な人材として、それぞれの持つ能力を十分に研磨し、思う存分活躍されんことを心から期待している。
# by seinen-kouken | 2014-01-15 15:05

安心サポートネット創立10周年における感慨

-安心サポートネット10周年を記念してー
創立10周年における感慨
NPO法人高齢者・障害者安心サポートネット
                              理事長  森 山  彰
1 全会員の労苦の賜物・・敬意と感謝
 当法人は平成16年5月に設立登記を完了。本年5月には創立10年目の大きな節目の年を迎えた。まさに光陰矢の如しであるが、一口に10年と言っても、その重みは筆舌で表現し尽せるものではなく、誠に感慨無量のものがある。
 まずは、終始一貫、当法人が充実、発展の道をたどることができたことは、これ一重に、地域住民の皆様の絶大なご協力とご支援があったればこそであり、また、全会員の皆様が労苦をいとわず、誠心誠意ご尽力をいただいた賜物であるから、このことに対し、心から敬意と謝意を表したい。

2 活性化の3つの活動指針
 創立10周年で、まず想い出すのは、平成12年成年後見制度が誕生したときのことである。その当時、いわゆる老人病院では、判断能力の欠けた入院患者に対して魔の3ロックと云われた人権侵害が常態化していた。この素晴らしい成年後見制度が定着すれば、この種の人権侵害は、世の中から姿を消すだろうと大きな期待を抱き、喜びで小躍りしたものである。
 ところが、この制度は、驚いたことに、発足当初からその利用が低迷したのである。この憂慮すべき状況をみて、当時筑紫公証役場の公証人だった私は、今考えると、思い上がりもいいところだが、多くの専門家を誘い、「成年後見制度の活性化」を目的とした「権利支援システム研究会」を立ち上げたのである。どんな手段を講じれば活性化できるのか? その理念や具体的な活動指針や組織はどうあるべきか? この研究会で得た制度活性化のための活動指針(キーコンセプト)は次のとおりで、これらの指針に基づき法人を創立し、何が何でも突き進む!ということだった。
 第1、個人の尊厳の保持と自立の支援という福祉の根本理念による活動、即ち、後見制度の財産管理中心から身上監護重視への転換である。 
 第2、ボランティアを視野に入れた非営利の活動、当法人における後見人の供給源が「新しき公共」(人を支え、役立つことに喜びや生き甲斐を感じる人達)であること、即ち、「市民後見人」の育成と活用であることの宣言である。
 第3、各専門家によるネットワークを活用 しての活動、これで、当法人内に経験豊富な各種専門家を取り込み、また、必要分野にプロジェクトチームを編成。これらが「市民後見人」を支援する構図を明確化した。
 以上この3つの指針は、その後当法人の発起人会及び創立総会において承認、確定されたもので、まさしく、当法人の基本骨格を形成し、当法人
の魅力ある特徴や強力な武器となっている。
そして、この3つの武器(特徴)を活かして、当法人が成年後見制度の運用に参加して、親族後見人や第三者専門家後見人とよい意味で競い合い、刺激し合えば、必ずや成年後見制度の活性化が果される・・・と考えたのである。

3 市民後見人の育成と活用
 そこで、当法人は平成18年から「競合いをする市民後見人の育成」に乗り出した。第1回育成研修を福岡市で実施し。受講者はボランティア精神が旺盛な一般人を対象とし、質が高い講師陣と充実したカリキュラムにより実施。その後も福岡市で2回、熊本市で1回行って、市民後見人の育成と活用に努めてきた。この意味で、当法人は、全国に先駆けて、画期的な研修を実施してきたのである。

4 「地域後見」を提唱
 ところで、市民後見人と親族又は第三者専門家後見人間の競い合いが、いくつかの小地域のみで行われても、制度の活性化にはつながらない。全国津々浦々で競い合うことが重要である。
 そこで、当法人は「地域後見」を提唱し、重点施策としてその実現に努めてきた。地域後見とは、「判断能力の不十分な高齢者・障害者の皆さんが、いつでも、どこでも、容易に成年後見制度を利用して、安心した生活を送ることのできる社会をつくろう!」という後見制度の地域性を重視した理念であり、その主役は、親しみ易く、利用し易く、そして、清潔な市民後見人である。
この「地域後見」の具体化の第1歩が、平成21年、熊本市において会員50名を有する「NPO法人成年後見安心サポートネット熊本」の設立である。当法人は、安心サポートネット熊本の円滑な運営を全面的に支援中であるが、この種NPO法人を独立採算制で、自立して事業運営ができるまで育成するのは、大変な苦労を伴うことも実感した。

5 市民後見推進事業の実施
 このような経験を経ると,市民後見人の全国展開を目指す地域後見事業が如何に難事業であるかも、身に沁みて理解した。地域後見は、忍耐強く、亀の歩みをするしか実現の道はないかとさえ思えた。ところが、23年に至って、予想さえできなかったことだが、厚労省が従来の方針を大転換し、市民後見推進事業の実施に踏み出したのである。その結果、24年には老人福祉法32条の2が新設され、市民後見人の育成及び活用が市町村の責務となった。これにより遅かれ早かれ市民後見人が、全国津々浦々に普及・拡大することが確実になった。これ程欣喜雀躍したことはない。それと同時に、「地域後見」の実現を標榜してきた当法人の先見性及びこれまで実施してきた諸方策の正当性が立証された。

6「地域後見」の実現は市民後見推進事業の結実が不可欠
 今後我が国では、益々核家族・少子高齢・無縁社会は進んでいくだろう。否応無く、その弊害や矛盾がこれまでより一層顕著になるだろう。「その弊害や矛盾を可及的に防止し、安心した生活が送れる社会をつくる!」という重要な役割を担うのが成年後見制度であり、また、具体的には「地域後見」の実現である。
 ところで、厚労省による市民後見推進事業は、やっと、スタートしたばかりのよちよち歩きである。問題は今後本事業による市民後見人がどのような形で養成され、その活動が定着していくかである。その養成と活動の目標は、市民後見人として優れた長所を遺憾なく発揮し、親族後見人や第三者専門家後見人とよい意味で競い合える、親しみ易く、利用し易い市民後見人である。
 その実現には、長期間を要し、苦難の道のりがあって、相当の紆余曲折が予想される。しかし、是非とも、市民後見人の長所や力量を全国の人びとに理解・納得してもらい、これらの支援者の力を結集して、「地域後見」を実現したいものである。そのためには、当法人がこの目標に向って尽力することは勿論、「地域後見」と完全にリンクしている市民後見推進事業の施策が、是非とも結実するよう、努力することが肝要である。
# by seinen-kouken | 2013-06-23 18:26

安心サポートネット 福岡・熊本 親睦会(後半)

 先日行われた親睦会の様子です。


# by seinen-kouken | 2013-01-07 02:16 | NPO

身上監護の重要性と市民後見人の育成

1 市民後見人養成研修  
  我が法人、安心サポートネットを取り巻く諸状勢の中で、大きな動きを見せているのは、創設2年目を迎える厚労省の「市民後見養成事業」である。初年度の23年度には、福岡県では、トップを切って、筑紫野市だけがこの「市民後見育成事業」に名乗りを上げ、「ボランティア活動に意欲のある受講者」50名を公募し、「市民後見人養成研修」を主催した。当法人がこれを受託して、レベルの高いカリキュラムを組んで実施し、いくつかの自治体の見学もあって、好評裡に終了した。

2 フォローアップ研修と後見支援センター
今年度の課題は、この養成研修の終了者に活躍の場を与える組織づくりとそれができ上がるまでの終了者に対するフォローアップ研修の実施である。
フォローアップ研修の方は、本年10月から来年3月まで毎月1回1日3時間の日程で実施中である。カリキュラムは、前回の養成研修より更に一層実務的で、高水準となっている。これと並行して実現すべき課題は、市民後見人の活動の拠点となる「後見支援センター」(仮称)の設置である。後見支援センターができ上がると、このセンターが、引続き市民後見人候補の研修と実務訓練を実施し、後見人に就任すれば、後見活動を支援し、また、その指導監督の役割を果すことになる。
  
3 後見人の理想像
ここで、最も重要なことは、このセンターが「どのような後見人を理想像として市民後見人を育成するのか?」、言い換えれば、「目標とする市民後見人の理想像はなにか?」である。

4 身上監護の重要性
 皆様もご承知のとおり、後見人の仕事は、第1に、本人(被後見人)の財産を管理すること、第2に、本人の生活や心身(身体)の療養看護のお世話をすることである。このことを法律用語では、「身上監護」という。この身上監護の仕事は、本人について「健全な身体を保ち、安心した生活を保持する」ために行う仕事だから、老化や傷病が原因で判断能力が衰えた者にとって、どんな仕事と比較しても、この仕事ほど重要で、大切なものはない。
この身上監護を必要とする人達は、核家族化、少子・超高齢社会の進展に伴い、身寄りない単身又は高齢者のみの世帯を中心に、その人数が大量かつ急激に増加中である。従って、この身上監護の充実・強化こそが高齢社会が当面する最大のニーズであり、その重要性は、今後益々高まるだろう。

5 身上監護の仕事 市民後見人に最適
ところで、この身上監護の仕事は、老化や傷病による能力減退者について、例えば、食事や家事等日常生活を支援するとか、介護や福祉サービスが利用できるよう面倒をみるとか、病気の治療や入院のお世話をするとかの仕事が中心であるから、その仕事の特徴は、常に本人に接し、本人の心身の状態や生活の状況を把握して、適宜、適切に必要な措置を講じることである。従って、その適任者は、一概に言えないが、本人に寄り添いながら、きめ細かく本人の面倒が見られて、親しみと安心感を与えられる人物だと言えそうである。そうだとすると、市民後見人には、ボランティア精神が旺盛で、親しみ易く、フットワークがよいという特長がある。この意味で、身上監護の仕事は、まさに市民後見人に打って付けの最適の仕事である。

6 身上監護と地域後見
当法人が、過去4回にわたり市民後見人育成研修を実施し、市民後見人の育成に熱心に取り組んだのも、厚労省が「市民後見養成事業」に乗り出したのも、身上監護の重要性に鑑み、そのニーズに応えるためである。
後見支援センターにおいても、身上監護が得意で、地域住民に信頼される市民後見人を理想像として、その育成に尽力すべきである。このような市民後見人が多数養成されることによって、当法人が提唱する「地域後見」の実現、即ち、判断能力の不十分な高齢者や障害者が、いつでも、どこでも、容易に成年後見制度を利用して、安心した生活が送れる社会の実現が、更に一歩近づくことになると思う。また、そうなることを切に祈りたい。
以 上
# by seinen-kouken | 2012-12-29 14:10