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任意後見移行型の利用促進について

任意後見移行型の利用促進について
1 29年度の重点目標
 本年度の13回通常総会は、多数のご来賓のご出席と、第4回生の数多くの初参加のもと、盛大に開催され、数多くの重要案件が審議され、満場一致で可決されましたが、その中で特筆すべきことは、本年度の事業推進に当たっての重点目標を下記の通り可決・決定したことでした。
第1 任意後見移行型を基軸とした受任体制の整備・拡大
第2 人材の育成
第3 地域後見 各地域における拠点つくり
 これらの重点目標は、一見これまでの当法人の路線の延長線上にあって、唯単に、焦点が絞られただけのように感じられますが、決してそうではありません。当法人にとっては、大変画期的なことです。
 その理由は、次のとおりです。すなわち、「安心の広場」25号の巻頭言でも述べたとおり、「当法人は、27年度から法定後見から任意後見へと受任体制の基軸を移転する。」という方針の大転換を行いました。それ以降、c0166418_14464170.jpg
「任意後見研究会」を中心に、検討を重ね、
①.判断能力を補充する任意後見とその前段階の身体能力の  減退を支援する後見型委任とは、まったく同じ型で、同じ価値だと評価して、両者の関係を見直すこと。
②.「任意後見移行型」(以下、「移行型」という。」全体の仕組みについて、財産管理から身上監護重視の後見へと刷新すること
③.適切な職務遂行の担保となる両者の指導監督システムを充実・強化すること。
 以上の基本に即して、移行型の新しい職務のあり方を研究開発した結果、万全とは言えないまでも、地域住民のニーズに応える「新任意後見移行型」を誕生させるという目的は、ほぼ、達成できたのではないかと自負しています。
 このような自負心が背景にあって、初めて「移行型を基軸とした受任体制の整備・拡大」という課題が、当法人の第一の重点目標として取り上げられ、檜舞台に躍り出たわけです。
2 職務限定論の偏見に風穴
 しかし、この目標の推進結果は、明らかに、「移行型の契約締結やその受任活動は、市民後見人の職務外である。」とする市民後見人の職務限定論と激突します。
 この限定論は、法律の専門家や学者の一部が主張するもので、そんな偏見に惑わされることなく、正々堂々と市民後見人が「移行型を適正・円滑に処理して、地域住民の厚い信頼を得ることができれば、これこそ、限定論の岩盤的偏見に風穴を開けて、成年後見制度に対する多様で柔軟なニーズに応えることが可能となります。また、何よりも、市民後見人について高い評価が得られる要因になると思います。
3 地域における拠点つくり
 「全国どこでも、いつでも、簡単に成年後見制度を利用して、安心した生活を送ることのできる社会をつくろう!」という地域後見の理念からは、「移行型」も、全国各地で簡単に利用できることが必要で、そのためには、「移行型」に関する啓発、相談、契約締結支援等の事務処理を行う場所としての拠点つくりが必要です。
 それと並行して、研修の実施や技能の実習等に基づき、「移行型」の支援を担う人材の育成が必要です。それに、「移行型」は自己決定権の尊重の理念に基づく制度ですから、契約の締結や職務遂行には、委任者本人の意思・意向がきちんと把握され、その意思決定を支援することが重要ですが、それには高度のノウハウが要請され、その取得には現場での実践の積み重ねが不可欠です。その実践の場としては、拠点つくりが大変役立つと思います。この趣旨も含めて、29年度の重点施策として「地域における拠点つくり」が登場したわけです
 この拠点つくりの課題は、プロジェクト方式で行う方針で、現在、筑紫野市、宗像市ではその作業を終え、糸島市ではその作業を実施中。他の地域においても、例えば、福岡市の西区・早良区、更には東区、大野城市・春日市、ないしは久留米市等においてその兆しや芽生え(例えば、同地域に住所を有する会員の合意等)があれば、積極的にその拠点つくりを支援したいと考えています。
4 新任意後見移行型の登場と利用促進
 今後の我国において自己決定権の理念に基づく任意後見の活性化は、何よりも大切なことです。しかし、任意後見には、使いにくさや煩わしさ等の欠陥があり、その是正には、法律の改正や運用上の欠陥を改善することが必要です。しかし、その改善は、そう簡単に実現の見込みはありません。
 そうすると、現行法下での運用を前提とする限り、その活性化には、現在当法人がシステム化に取り組んでいる、新しい「任意後見移行型」によって行うのが最善の方策だということです。したがって、この最善の方策をできるだけ早期に実践の場に登場させ、その利用促進が図られるよう、役員・会員の皆様が一体となって、惜しみないご尽力を期待したいと思います。    以 上

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by seinen-kouken | 2017-07-31 14:38 | NPO

任意後見移行型と「後見型委任契約」

任意後見移行型と「後見型委任契約」

1 移行型に対するニーズ

平成28年5月に施行された成年後見制度利用促進法における基本方針の1施策として、「任意後見制度の積極的な活用」が盛り込まれているが、この制度は、自己決定権の尊重の理念が最も強く働くシステムであるから、その活用が図られるのは当然である。この任意後見のうちでも、最も利用頻度が多いのが、「任意後見移行型」であるから、活用の対象は、この移行型全体でなければならない。

この移行型は、委任者本人の判断能力のある間は、「財産管理等委任契約」で保護し、本人の判断能力が不十分となれば、「任意後見契約」で保護・支援するというパターンで、しかも、両契約はそれぞれ独立していながら、同時に契約されるのが通常である。

  ところで、現代の少子・核家族・無縁の超長寿社会では、高齢者・障害者は、家族等の支援を受けず、自立したまま、生涯を終わる人もいるが、多くの人は、次のいずれかのパターンにより、自立が困難となって、他の者の支援を受けて生涯を終える。そこで、それぞれをパターン化して対応策を示すと、次のとおりである(朱書き部分)。

第1は、身体能力の減退で要支援状態となるが、死ぬまで判断能力低下による支援状態になることはない。・・・「財産管理等委任契約」で対応

第2は、身体能力の減退に引続き、その後の判断能力低下でも要支援状態となる。・・・「財産管理等委任契約」と「任意後見契約」で対応

第3は、身体能力低下がなく、ストレートに判断能力が低下して要

 支援状態となる。・・・「任意後見契約」で対応

上記でお分かりのとおり、「任意後見移行型」は、上記のいずれのパターンでも支援可能なので、利用すれば便利で、メリットの多いシステムである。

2 「名は実を表す」・・・後見型委任契約

そこで、注目したいのは、現代の超長寿社会では、認知症の予防の徹底、早期治療が浸透しつつあるためか、判断能力はあるが、身体能力が減退して自立した生活が困難な要支援者が急増している。したがって、それに伴い、身体能力減退者の保護、支援策を財産管理等委任契約が担っているが、この契約は、身上保護に淡白で、財産管理偏重なので、要支援者のニーズに応えることができない。このニーズに応えるためには、その内容を身上保護重視に改善し、契約の名称も一新することが必要である。

まず、改善後にふさわしい名称を考えるには、この委任契約の特徴は何か、また、その特徴を一言で表現する言葉は何かである。

この委任契約の特徴は、身体能力減退による要支援者の身上監護と財産管理の支援・保護であり、後見の特徴も、身上監護と財産管理の支援・保護であるから、この共通項から、後見の型に属するものと解し、「後見型委任契約」との名称を用いた。つまり、「後見」は、制限行為能力者に使用される用語であるが、生活全般の要支援者に対する支援・保護にも使用することが、国民の肌合いにより合致する。このことが後見型とした理由である。これにより「名は実を表す。」ことになったが、この名称が相当かどうかは、諸賢の判断を待ちたい。

3 移行型の改善の方向

次は、契約内容の改善であるが、法定後見の運用にも言えるが、任意後見移行型全体が、利用者にそのメリットを実感できるように運用することが重要である。そのためには、次に述べるように、身上保護重視の移行型へ!と刷新することである。

(1)任意後見の分野

身上保護重視の観点から、本人の身上把握と意思決定支援に重点を置く一方、他方では、寝たきり状態の防止、能力の保持・向上、尊厳死に関する条項の新設等身上配慮義務に基づく細則規定を盛り込んで、身上保護を強化することが重要である。

次に、利用者がこのシステムを利用し易いように、任意後見監督人には、任意後見人との組み合わせで、社会福祉協議会等の福祉団体、NPO、親族等を起用し,無償を含む低廉な報酬への仕組みを採用することである。

(2)後見型委任の分野

   後見型委任は、任意後見と法的性質が同じで、果たす機能も同じであるから、任意後見と同等のレベルまで身上保護重視の方針や細則等を盛り込むことが必要である。

また、弱点となっている、本人による受任者の指導監督も、本人に対する報告システムを任意後見並みに強化し、法人受任による法人の指導監督制の併用、あるいは第3者監督人制を導入して、その強化と信頼性の向上を図ることが必要である。

  これらの改善の結果、「任意後見移行型」全体が、身上保護重視の観点からリニューアルされることになれば、契約内容が改善され、新酒ができたわけだから、「新しき酒は新しき革袋に盛れ」という故事のとおり、この契約の新しき革袋として任意後見契約とともに、その前段階の契約として「後見型委任契約」の新名称を用いることは、今後における移行型の信頼性向上につながり、その利用促進に大きな効果が期待できると思う。

参考 過去のブログ(100歳まで生きるから支援を頼む!)でも、「後見型委任契約に関連し、「新しき酒は、新しき革袋にもれ」の故事を引用したが、その理由は、「後見型委任契約」の名称の普及を強く期待しているからである。

以 上


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by seinen-kouken | 2017-02-14 21:41

100歳まで生きるから支援を頼む!

1 Kさんの相談
 娘さんが父親を連れて任意後見契約の相談にきた。ところが、何とその父親は、十数年前に知り合った、かっての友人Kさんだった。私の公証人時代、そのKさんから、「遺産全部を九州国立博物館の建設資金に遺贈したい。」と希望する人を紹介されて、その遺言公正証書を作成した。このことがきっかけで、Kさんと囲碁友達になり、3目の置き碁で、Kさんの挑戦を受けていたから、私を先生と呼んでいた。
 やがて、私が成年後見制度の活性化を旗印としたNPO事業で多忙になると、すっかり疎遠なり、このたび、懐かしい再会となったわけである。
Kさんは85歳で、元気者である。しかし、奥さんは既に有料老人ホームに入所しているので、マイホームで1人暮らし。Kさんには、結婚した娘さんが2人いて、2人とも家庭を持っている。長女の方は、入所中の母(Kさんの妻)の世話と、Kさんの生活への気配りで多忙、また、次女の方も、家族の面倒と夫の親の介護で精一杯。
 Kさんを取り巻くこのような状況は、この超高齢化社会では、よく見慣れた風景である。Kさんは、自らの心身が衰弱して、自立した生活ができなくなったとき、誰が自分を支えてくれるか?娘達は、Kさんの世話まで手が廻りそうにない。誰もいないと気が付いた途端、それが不安で、不安で、その不安が募った末の相談だった。

2 任意後見移行型・遺言
 そこで、その不安解消策は、任意後見移行型の契約を締結することだと助言した。任意後見移行型とは、Kさんが信頼できる人を受任者として、身体能力の低下時に支援してもらえる後見型委任契約と判断能力の低下時に支援してもらえる任意後見契約を同時に契約しておき、Kさんの身体能力が低下したときは前者の契約で、次いで、判断能力が低下したときは後者の契約で、というように、支援する根拠法が移行する契約のタイプを言う。
 任意後見移行型の前段階の「後見型委任契約」とはどんな契約か、疑念をもたれる読者もおられると思う。従前から、この契約は「財産管理等委任契約」と呼ばれ、この呼称は、この中身が財産管理中心であることを言い表している。しかし、任意後見制度が誕生すると、この制度の影響を受け、現在では、この契約による事務は、身上監護と財産管理の各事務であることが定着し、その上、特に身体能力の低下者のニーズは、身上監護重視であるから、この契約も、このニーズに応えた新しい中身に改善されなければならない。
 そうだとすれば、「新しき酒は新しき革袋に盛れ」という故事にあるとおり、新しき革袋として「後見型委任契約」という呼称がぴったりである。まさに「名は実を表す。」で、この呼称が全国に定着すれば、この任意後見移行型の契約も、地域住民に身近で、親しみ易いものとなるだろう。是非そうなることを望みたい。
 話を元に戻そう。Kさんからは、「2人の娘達に頼むのは無理、他に信頼できる者は居ないので、私の面倒は安心サポートネットにお願いしたい。」と依頼された。
勿論「引き受けたい。」と快諾、更に、Kさん死亡後の相続財産争いを防止するため、遺言をも勧めたところ、「是非お願いしたい。」という返事、そこで、移行型の契約と遺言の各文案についてKさんの意見を十分聞き取って準備を進めた。

3 Kさんの夢
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 後日、移行型と遺言の文案を公証役場に持ち込み、公正証書が出来上がった。
それで、事務所に戻ると、Kさんが、いきなり「昨夜亡母と一緒に居る夢を見た」と話を切り出した。Kさんの亡き父・母は、ともに100歳を超える長寿だったそうだ。その母に、「もうこのへんで、そちらの天国に行きたいが、」と話し掛けたら、
 母が即座に、「何をとぼけたことを言うの。後見制度の支援をうけて、これからが新しい人生が始まるのよ。今来たら、追い返すから!」「元気で頑張り、100歳になって、こっちにきたら、歓迎してあげるわよ!」と言われたそうである。
 そして、いきなり私に向って、「100歳まで生き延びることにしたから、先生もそれまで元気で支援して欲しい。」と訴えられた。私は、長生きが無理なピンピンコロリの志願者なので、その想定外の言葉には驚いた。しかし、Kさんの100歳まで、私が元気だとしたら、それで喜ぶのは、Kさんより私の妻だと一瞬ひらめいて、「そうなったら、大喜びするのは女房の方かな!」と応じて、事務室内は爆笑となった。
続けて、「当法人は法人後見だから、Kさんの担当者が職務をできなくなっても、代わりの担当者が職務を行うから、どんなに生き永らえても、大丈夫ですよ!」と念を押した。Kさんは、任意後見移行型と遺言が、「転ばぬ先の杖」であることを納得して、すっかり安心している様子だった。
                       以 上

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by seinen-kouken | 2016-06-01 19:16